岩船寺(京都府木津川市)R4.6.17他
岩船寺は京都府の最南に位置する(殆ど奈良市です)木津川町の山奥にある、真言律宗西大寺の末寺です。天平元年(729年)に聖武天皇が僧・行基に命じて阿弥陀堂を建立したのが始まりで、その後も天皇家により寺社の建立や整備が行われ、弘仁4年(813年)には岩船寺と寺号が変わりました。

最盛期には39もの坊舎を構える大きな寺院となりましたが、承久の乱(1221年)の大火により大半を焼失、再建後も再び兵火で失い、江戸時代に入る頃には荒廃していましたが、荒廃ぶりを嘆いた文了律師が必死で勧進を行い、さらに徳川家康・秀忠らの寄進により本堂や仏像等の修復がなされました。

岩船寺は近くにある浄瑠璃寺と共に興福寺一乗院の末寺でしたが、明治の廃仏毀釈により無住となり、その後真言律宗西大寺の末寺となりました。昭和63年には本堂を再建、平成15年には三重塔を修理し、現在に至っています。

私が初めて訪れたのは平成13年12月の事で、当日は岩船寺のある当尾の石仏巡りをしたのみでしたが、曇り空の中での薄暗い森に建つ古い三重塔が不気味だった印象がありました。その後令和5年6月4日にアジサイを見るため訪れましたが、当日は近鉄奈良駅付近にあるレンタサイクルで自転車を借りて、般若寺経由で訪れました。初めて電動アシスト自転車に乗り快適でしたが、岩船寺までは頂上が見えない程の急な上り坂と、ブレーキが潰れるのではと思うほどの急な下り坂が連続して永遠と続く、最悪な内容でした。おまけにルートを大きく間違え、傷口が広がってしまいましたが、一度も自転車を押さずに目的地に辿り着き、電動アシストの威力を強く感じました(それでもめちゃくちゃしんどかったです)。おまけに岩船寺のアジサイは殆ど咲いておらず(般若寺のアジサイは満開でしたが、標高差?)、その後に寄った浄瑠璃寺での猫達の癒しがなければ良いことなしで終わるところでした。

諦めることが出来ず、2週間後の6月17日に、今度は早朝から車を飛ばし、開門前の7時過ぎには岩船寺に到着しました。既に門前には5人ほどが待っており、門から見える綺麗な風景を撮影していました。私も一緒に撮影し、通常より30分早く開門となった8時に中に入りました。三重塔は以前と違い朱色に塗られ綺麗になっており、満開のアジサイとの組み合わせもとても綺麗でした。三重塔の裏山にもアジサイが多く咲いており、アジサイ寺の異名が分かりました。本堂にも植木鉢に植えられたアジサイが多く置かれており、雰囲気が良かったです。

余談ながら、開門する頃には15人程が並んでいましたが、ふと耳や口が不自由な人が多いのに気づきました。そのような方々が5~6人のグループで来ていたのですが、とても楽しそうに記念撮影していたのがすごく印象的でした。