般若寺(奈良県奈良市)R4.6.4
般若寺は、東大寺大仏殿や正倉院の北にある、奈良坂と呼ばれる上り坂を登り切った場所に位置する真言律宗の寺院です。舒明天皇元年(629年)に高句麗の僧、慧灌の創建とされています。なお、天平7年(735年)に聖武天皇が伽藍を建立し、十三重石塔を建てて天皇自筆の大般若経を安置したと言われていますが、これを裏付ける史料はないそうです。

その後治承4年(1180年)に平重衡による南都焼き討ちの際に東大寺・興福寺とともに般若寺も焼け落ち、しばらくは廃寺同然となっていたようです。鎌倉時代に再興されたものの、延徳2年(1490年)の火災、永禄10年(1567年)の東大寺大仏殿の戦いでの兵火、明治初期の廃仏毀釈により近代に入ってから寺は荒れ果てました。その後第二次世界大戦後に修理が行われ、境内が整備されています。

そして現在では四季折々の花が咲く寺として知られ、特に秋のコスモスが有名で、コスモス寺との愛称で親しまれています。40年前に荒寺状態だった境内で前住職が境内に一輪のコスモスが咲くのを見つけ、「多くの人にコスモスを見ていただき、心を和やかに持ってほしい」という想いのもとにコスモスを植え、今では秋のシーズンに15万本30種類ものコスモスが咲き乱れます。

その他、春は山吹、夏は夏コスモスとアジサイ、冬は水仙が境内の至る場所に咲き乱れます。そして令和3年からはガラスボールにアジサイを入れた花手水が始まってからは、6月に参拝者が急増する人気スポットとなりました。水の入ったガラスボースにアジサイを入れて並べているだけですが、ボールの中にある水の反射で映る風景との組み合わせが美しく、考えた人はとても賢いと感心しました。ガラスボールを綺麗に並べたり、アジサイを上から吊るしたりと、観光客に楽しんでもらおうという姿勢があちこちで見受けられました。

夏コスモスは秋と比べて本数はまばらで、アジサイも晴れ続きだったため色が薄かったですが、早朝から多くの観光客が訪れている中でも楽しく撮影をすることが出来ました。