石巻線(小牛田~女川間)H12.5.3
石巻線は1912年(大正元年)に仙北軽便鉄道が小牛田~石巻間に開業したのが始まりです。軌道の軌間が狭い路線で、年に200日から300日の運行日しかしていなかったようで、経営状態は悪くなかったものの、速度が遅く、貨物の積載量が少なく、小牛田駅での東北本線との貨物の積み替えが大変等、問題を抱えていました。そのため仙北軽便鉄道は1919年(大正8年)に国有化され、仙北軽便線と名前を変えました。翌年に軌道の軌間を広げ、1922年(大正11年)に石巻線と名前を変更し、現在に至っています。その後石巻~女川間は1939年(昭和14年)に開業しています。

2011年3月11日の東日本大震災では全線にわたり不通となり、同年5月19日までに小牛田~石巻間、翌年3月17日には石巻~渡波間、2013年3月16日には渡波~浦宿間が復旧しました。残る浦宿~女川間は軌道の損傷、女川駅の焼失によりバス代行が行われていたものの、内陸部への移設・かさ上げをしたうえで2015年5月30日に復旧しました。

運行形態は現在は全て各駅停車で、概ね1時間に1本程度です。ほぼ全ての便が小牛田~女川間を走りますが、途中石巻で30分程度停車する便もあり、全体の所要期間にはバラツキがあります。また、東北本線・仙石線経由で女川まで結ぶ快速「仙石東北ライン」も石巻から乗り入れています。

訪れた当時は東北本線の撮影をメインに鉄道撮影をしていましたが、沢田~浦宿間の「海と車両」の写真を撮りたいと考え、それだけのために足を伸ばしました。見本としてガイドブックに乗っていた写真は遠望っぽくて若干物足りなさを感じていたものの、だからといって私自身にアイデアが有る訳でもなく、ただ現地付近をおろおろと撮影場所探しをしていました。車両が来る時間前になって、ふと線路沿いの海(正確には「万石浦」という海繋ぎの湖)に、ノリの養殖が広がっているのに気づき、この風景と鉄道を組み合わせることにしました。時間がなかったので理想としていた高い場所からの俯瞰は出来なかったですが、うまく表現できたと満足しています。