常楽寺(滋賀県湖南市)H30.11.18
常楽寺は天台宗の寺院で、同じ湖南市にある長寿寺の「東寺」に対して、「西寺」と呼ばれています。長寿寺・善水寺とともに湖南三山の一つに数えられ、近江西国三十三箇所観音霊場第一番札所・びわ湖百八霊場第95番霊場となっています。入口に入ってすぐ目の前にある本堂と三重塔は国宝に指定されています。

寺の起源ははっきりしていないそうですが、和銅年間(708~715年)に元明天皇の勅願により良弁によって創建されたとされ、長寿寺同様に紫香楽宮の鬼門を封じていたそうです。平安・鎌倉時代には長寿寺とともに栄えました。その後は運が悪く、延文5年(1360年)に火災で伽藍が全焼、宝徳4年(1452年)に建てられた仁王門は豊臣秀吉により伏見城へ持っていかれ(現在は三井寺にあります)、1981年(昭和56年)には複数の仏像が盗難に遭い、檀家がないため寺の収入が無く、たった一人の住職は仕事をしながら務めているため、現在土日の予約のみによる境内公開をしている状態です。そのためか、これほどの国宝が並ぶ立派な寺でありながら、常楽寺の存在は湖東三山とは比べ物にならない程にマイナーな存在なのが勿体なく感じました。

長年草木は放置され荒れ放題だったそうですが、平成17年から住職の一念発起で一人で整備を始めた結果、裏山が綺麗になりました。私が訪れた平成30年には綺麗になっていましたが、整備の際裏山に植えられた350本のモミジ(元は本堂付近の30本だけだったそうです)はまだ小さかったので、これからが更に楽しみな場所です。

秋の紅葉の時期は特別に予約なしで見学でき(有料です)、地元の有志の方々が受付等をしています。本堂の左右のモミジが綺麗で、更に三重塔から裏山を散策することもできます。但し若干坂道が険しく、一緒に訪れた母と叔母が裏山に行くことができなかったのは残念でした。