関西本線(JR難波~名古屋間)H11.6.12
関西本線は関西鉄道が名古屋~大仏(奈良市内)に路線を引いたのが始まりです。更に前年に浪速鉄道から買収した路線を経由して綱島(大阪・京橋近くにあった駅)~四条畷~名古屋間に直通列車を走らせました。奈良~湊町(現・JR難波)間は大阪鉄道により1892年に、木津~奈良間は奈良鉄道により1896年に開通しています。その後1900年に関西鉄道が大阪鉄道・奈良鉄道を買収し、1907年には現在のルートが完成していました。その後関西鉄道は名阪間で官営鉄道と激しい競争を繰り広げた時期もありましたが、1907年に鉄道国有法により関西鉄道が国有化されたことで競争に終わりが告げられました。

その後同路線に並行して参入してきた大阪電気鉄道・参宮急行電鉄(後の近畿日本鉄道)等の私鉄に対抗するため、快速列車設定や気動車導入を図ったものの、東海道本線の全線電化、近鉄のスピードアップ、東海道新幹線の開業、名神高速・名阪国道の開通等によって、関西本線は名阪間輸送の第一線から退くこととなりました。長らく全線での近代化が遅れていましたが、1973年に奈良~湊町間、1982年に名古屋~亀山間が電化され、近郊路線として重要な役割を担っています。

運用形態も長い路線の中で、大きく3区間に分かれます。JR東海の管轄である名古屋~亀山間は、各停の他、快速・区間快速、そして紀勢本線・参宮線へ入る快速「みえ」が走り、本数もかなり充実しています。JR西日本の非電化区間である亀山~加茂間は山越え区間で、閑散とした路線となっていますが、それでもどの時間帯であっても1時間に1本というきっちりしたダイヤを組んでいます。昔は優等列車も走っていましたが、現在は全て各停で、ほぼ全列車が通しの設定になっています。JR西日本の電化区間である加茂~JR難波間は、完全な近郊路線として定着しており、本数も充実している他、大阪市内を直通する「大和路快速」や、おおさか東線経由で新大阪まで直通の直通快速も走ります。但し、同じ奈良~大阪間を走る近畿日本鉄道(近鉄)との競争には劣勢なのは否めない状況です。

関西本線の撮影は今まで興味がなかったのが本音です。街中での鉄道撮影は魅力が薄いため、必然的に自然の多い加茂~亀山間での撮影になるのですが、気づいた時にはその区間は旧国鉄車両が廃止され、軽快なキハ120系が走っていたので撮影の魅力が薄れ、沿線での撮影名所も特になかったからです。しかし掲載写真撮影当日は、たまたま宇陀市にある「滝谷花菖蒲園」と奈良市にある「柳生花菖蒲園」に行った帰りに国道163号を車で走っており、途中国道・木津川・関西本線が並ぶ場所で、川沿いに続く線路の風景がとても綺麗な箇所がありました。瞬時に「ここは撮影しとかなあかん!」と車を停め、列車が来るのを待った上で撮影をしたものです。関西本線が木津川の渓谷美の中を走る事は聞いたことがありましたが、その美しさにたまたま出会えたことは運が良かったです。