熊野川町の滝(和歌山県新宮市)
H11.9.9他
    

宝龍滝 H11.9.9
2005年10月に新宮市と熊野川町が合併し「新宮市」となりましたが、旧熊野川町滝本地区には素晴らしい滝が集まる地域となっています。但しアクセスはかなり大変で、県道44号沿いに入口があるものの、県道44号線の北側は国道168号と接続した場所からおよそ20キロ、南側は熊野那智大社の参道である県道46号から県道43号に入り、更に峠越えの上県道44号に入るルートで20キロ程車を走らせる必要があります。更にこの県道44号は車1台がやっと通れる山深いグネグネ道で、先の見えないカーブが連続し、道路脇の岩が崩れて大きな石が転がる場所が永遠続きます。対向車は殆ど来ませんが、いつカーブの先から現れるか、現れたらどのように離合しようかと思うと、集中力が途絶えることなく運転する必要があり、本当にしんどいです。ちなみに私が2度目に訪れた際は、崩れた石を踏んだためタイヤがパンクしました。

本当にヘロヘロになりながらひたすら運転すること1時間半~2時間程で、いきなり「宝龍滝・野々滝」の大きな看板が現れます。横の山深さ満載の道に入ると、ほどなく駐車スペースに辿り着きます。その辺りから滝までは開けた場所を進みます。日当たりが良くも、細く足場が悪い道を進むと、山のかなり高い場所に宝龍滝の一部が見えてきます。近付くと宝龍滝の滝壺まで行くことができ、豪快に真っすぐ水を落とす滝の迫力を感じることができます。滝の岩はコケ等で覆われており、滝壺からあふれた水が広くなだらかな岩を伝って下流に流れていく姿は優雅です。下から見えている滝は正確には「宝龍一の滝(51m)」で、よく見ると上には更に「宝龍二の滝(54m)」があります。過去には左岸を大きく回った場所に宝龍二の滝の滝壺まで登れる梯子があったそうでしたが、現在は梯子が崩落しており、崖をよじ登るしか術はありません。かなり危険な方法のためお薦めができません。それでも実際に見えている滝より更に大きい滝が上にあり、合わせて100mを超える滝があることに驚くと共に、苦労してでも来て良かったと感じました。なお、航空写真では一の滝と二の滝の間にある滝壺が広いことにも驚きました。

初めて訪れた平成11年9月9日当時は宝龍滝と筆藪滝のことしか知らず、看板に大きく「野々滝」と書いているのを気にしないまま現地を離れましたが、後ほど「野々滝(60m)」が宝龍滝に劣らぬ素晴らしい滝だと知って、かなりのショックを受けました。しばらく思いを引きづった後、平成16年5月15日に再訪が実現しました。宝龍滝の上段に上がる梯子があったとされる同滝の左岸側に回り込むも、野々滝は見当たりません。看板もなくしばらく周りを探し回りましたが、累々と転がる岩を恐怖でオロオロしながら数回飛び越えていくと、岩に隠れるようにいきなり巨大な滝が目の前に現れました。それが野々滝です。実は過去には野々滝まで通じる橋があったものの、増水時に流されて無くなり、現在は木の枝に赤いテープを捲いて目印にしているだけのようです。音を頼りに滝を探したものの、60mの高さがありながら、岩を伝って末広がりに流れる静かな滝のため、宝龍滝や川の流れの音にかき消されて分かりませんでした。滝壺は殆どなく、滝の真ん前まで行くことが出来ますが、かなり高い滝なので首が痛くなります。思う存分撮影したものの、帰宅後当時のリバーサルフィルムの現像の際に増感処理をするのを忘れ、全体的に暗い出来となってしまいました。またしてもかなりのショックを引きづりながら、やっと再訪したのは平成27年8月22日と、10年以上経過してからでした。その頃にはデジカメ中心の撮影となり、同様の失敗の心配は無くなりましたが、初めて午前中に撮影したところ逆光に悩まされ、日なたと日陰の差にも悩まされました。ともかく何とか撮影した画像を掲載します。

最後に先述2つの滝から一度県道44号に戻り、少し北に進むと、開けた場所にある滝本地区に入ります。滝本地区は人口7名・世帯数5世帯(2015年)とのことで、今では住人自体残っているのか分かりません。いずれにせよ途中右折した林道を走ると駐車場があり、そこから徒歩ですぐに「筆藪の滝(10m)」に辿り着きます。滝自体は小さいのですが、不釣り合いな程滝壺が広く、ただでさえ小さい滝が更に小さく見えます。滝壺の水は透明度が高く、滝壺を主役にして滝を撮影するのも悪くないと思いました。なお、この筆藪滝のすぐ横から更に上流に行くと、とても素晴らしい滝が連続して存在します(部屋滝・屏風滝・溜ノ湾どの滝・亀壷滝等)が、ガイド同伴でしか訪れることができません。更にその後の大雨で付近の崖が崩落し、現在滝付近の道路や駐車場は跡形もないようです。それでもその場所から歩くのなら筆藪滝までは行くことができるようです(2020年情報)。

宝龍滝 H27.8.22

宝龍滝 H27.8.22

宝龍滝 H27.8.22

宝龍滝 H16.5.15

野々滝 H16.5.15

野々滝 H16.5.15

野々滝 H27.8.22

野々滝 H27.8.22

筆藪滝 H11.9.9

筆藪滝 H11.9.9