宮の谷渓谷(三重県松坂市)H16.5.23    

高滝
宮の谷渓谷は奈良県と三重県の県境にある、日本でも有数の豪雨地帯に存在する渓谷です。登山道入り口から分岐点まで2.2キロの登山道が谷沿いに続きますが、鉄橋や階段が多かったり、一部崩壊箇所があったりと、自然の厳しさを感じると共にそれに対応した登山道の作りとなっています。

比較的危険な場所もなく分岐点までたどり着くと、案内板に「左 風折滝40分」「右 高滝20分」とあります。右に行くと鎖場があったり鉄はしごがあったりしますが、難なく高滝までたどり着くことが出来ます。高滝は落差60mの直瀑で、当日は水量が多く迫力のある流身でした。

そこから更に奥にある猫滝に向かうのですが、高滝を左岸から高巻きする必要がある上に、置いてある看板には「滑落による死亡事故多発地帯」旨が書いてあります。高巻き自体はそれほど恐怖感はなく、注意を払いながらも撮影ができる状態でした。しかし高滝の落ち口の高さを超えた辺りから鎖場が出てくるのですが、かなり足場がおぼつかない場所ながら、足を滑らすだけで滝つぼまで落ちてしまう恐ろしい場所があります。通過するまでにそれほど時間は費やさないですが、かなりの注意が必要です。

猫滝は高滝の真上にあり、二つの滝の間に5m程の小滝があるので、3段の滝という感じでした。猫滝の滝つぼは、水量の多さのためか筒のようになっており、岩が削り取られたのが分かる綺麗な滝です。但し撮影箇所が限られるので、あまり変化を付けるのが難しいと思います。更に奥にはドッサリ滝という水量の多い滝があるのですが、時間の都合上行くことができませんでした。

先述の分岐点まで戻り、日本の滝100選にも選ばれている風折滝に向かうことにしました。落差は80mながら、水量が少ないため風が吹くと流身が途中で折れてしまうことから名づけられた名前です。風折滝までの道は、自然を満喫してもらうという趣旨でほぼ整備されておらず、川を遡行する必要があります。途中までは川に沿って2m程上に道がありましたが、途中道が途絶えて下に降りるロープがあるのみになります。そこから川を遡行するのですが、川自体は険しくなく歩きやすいものでした。但し当日は雲行きが怪しいうえに、既に水量が多くなっており、狭くて暗い渓谷を不安感一杯で歩きました。

何とか風折滝にたどり着くと、名前とは裏腹に水量の多さのため水しぶきが凄くてびっくりしました。更に撮影中に本格的な大雨となり、結局いろんな場所で撮影することも出来ず、慌てて引き返し始めました。そこからはただ恐怖心だけで必死に増水した川を歩き続けましたが、荷物が重い上に力を使いすぎたのか先述のロープをなかなか登ることが出来ず、心が折れそうになりました。何とか登るも、今度は蛭の大群に襲われ、足を血だらけにしながら何とか車まで戻りました。

今まで撮影に出かけた中でもトラウマになる程の恐怖を感じた撮影でした。それ以来宮の谷渓谷には近づくことすらしていないですが、風折滝はもう一度撮影し直したい気持ちもあります。再訪の際は必ず天気予報を確認したいと思います。

高滝

高滝

高滝

猫滝

風折滝