那智滝(和歌山県那智勝浦町)
H28.6.16他
    
那智滝は那智川中流に架かる落差133mの滝で、総合落差では全国12位も、一段の滝としては全国一位の落差を誇ります。本来「那智滝」は那智四十八滝の総称であり、この大きな滝は「一の滝」を指しています。一の滝は飛瀧神社の神体であり、飛瀧神社の境内に設けられた滝見台から見ることができるようになっています。また、付近は熊野那智大社や青岸渡寺も含めた自然信仰の聖地でもあり、平成16年(2004年)にはユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」として登録されています。

父が学生の頃まで那智滝のすぐ麓に住んでおり、現在も先祖の墓がその場所にあるため、私も幼いころから数えきれない程この滝を見てきました。しかし、あまりにも行く機会が多すぎて、「ただいつも通りに滝がある」イメージにしかありませんでした。それは滝撮影に夢中になった時期でさえも、付近の滝には必死に行くものの、那智滝は「わざわざ行かなくても」と後回しになっていました。実際に立ち寄った時も、昔と変わらず落差はあるもののその迫力に見合う水量がない状態が普通だと思っていました。そのため平成23年の紀伊水害で那智川が氾濫し、親戚2人が亡くなった際も、とてもそこまで滝の水量が増えるなんて想像できませんでした。

平成28年に那智勝浦町に住む叔母が亡くなり、急遽先祖の墓の近くにある葬儀場まで参列した際、途中待ち時間が1時間以上あったため、ふと那智滝を見に行きました。当日は涙雨の如く結構な土砂降りで、那智滝の前には誰もいませんでしたが、そこには今まで見たこともなかったとんでもない水量の滝が現れていました。高い落ち口から一気に大量の水が滝つぼに叩きつけられており、滝見台付近は水しぶきと強風で立っていられない程でした。三脚&スローシャッターでの撮影は難しい状態だったので、ただ闇雲にシャッター優先で水しぶきの中をシャッターを押し続けていました。自然の恐ろしさはよく耳にしましたが、やはり体験しないと実感が沸かないものだと思いました。また長い時間がかかったものの、初めて那智滝の凄さを実感することが出来たのは貴重な体験でした。

なお、上部の画像は平成28年6月16日、6枚目(リバーサルフィルムで撮影)は撮影日不明、最後の3枚は平成27年8月23日撮影です。