小田代ヶ原(栃木県日光市)H7.5.15 H7.10.18
小田代ヶ原は栃木県日光市の「日光国立公園」内にある周囲約2kmの湿地で、湿地から草原に移行している途中の姿と言われています。その両方の特徴を併せ持つ希少な場所として特別に保護する必要のある場所に定められる「ラムサール条約」の地区として登録されています。

隣には同じ特徴をもつ「戦場ヶ原」がありますが、国道120号から眺められる戦場ヶ原と違い、小田代ヶ原は車両立ち入り禁止場所から40分程歩く必要があります(但し、運行を認められている送迎バス専用の舗装道路を歩きます)。これとは別に、小田代ヶ原と戦場ヶ原を結ぶ木道(ハイキングコース)もあります。

小田代ヶ原には湿原に一本の白樺の木がポツンと立っており、「1本の木」としてカメラマンには有名な風景となっています。ここは冷えた早朝に霧が発生しやすく、その木を絡めた写真を撮ろうと夜明け前から愛好家がやってきます。霧は秋に発生しやすく、その頃は草紅葉も見頃になるので、更に人が集まりやすくなります。

平成7年秋に訪れた私は、夜2時頃に小田代ヶ原入口近くにある竜頭ヶ滝駐車場に到着、仮眠をしましたが、まだ誰もいない中、光も音も全くない中でとても恐怖感を感じました。アラームを鳴らして暗い中小田代ヶ原に出発しましたが、真っ暗の中でも数人の人が懐中電灯片手に闇の中を歩いていました。恐らく一人ではとても行くことが出来なかったと思いますが、現地に到着したところ、想像以上に人が多いことにびっくりしました。

夜が明けだすと、周りが温度上昇と共に霧深くなってきました。目を凝らして一本の木を探しますが、初めて訪れた私はその方角にあるのかすら分からず、ただ周りの人の目線に合わせてカメラを向けていました。

霧が晴れたと同時に、遠くから一本の木が姿を現した瞬間の感動は今でも覚えています。期待通りに霧がかかり、晴天にも恵まれたことに感謝をしました。その幸運をどこまで撮影に生かすことができたか疑問でしたが、嬉しい一日となりました。