大柳川渓谷(山梨県鰍沢町)H19.4.6    

観音滝
山梨県最西部に位置する鰍沢町(かじかざわまち)は、町の最東端に国道52号が縦断する他は、県道407号の細い道があるだけの本当に小さな町です。その県道も途中で林道に変わった後に行き止まりになりますが、林道に変わった後の道路沿いに大柳川(おおやながわ)が流れ、一帯は大柳川渓谷として多くの滝が存在します。滝はそれぞれ遊歩道で結ばれており、更に大小10本の吊り橋が渓谷美を引き立てています。

本来は訪れる予定ではなく、鰍沢町南部にある身延町・身延山久遠寺の桜を撮影するために山梨まで来ましたが、この地域の桜は既に散ってしまい、長野県まで転戦しようと向かった途中にあったので寄った次第です。4月の時期にしては水量があったのは良かったのですが、まだ肌寒い時期で緑が芽生えていない風景だったので、どの滝も殺風景な写真になってしまいました。緑のある時期に撮影された写真はとても魅力があったのに残念です。

県道52号を走らせると、林道に変わる手前に「不動滝(35m)」が現れます。県道からも一望でき、旧道を利用した遊歩道もあるので簡単に見る事が出来ます。十谷温泉が見えてくると道も林道に変わりますが、そこから滝への遊歩道を歩くこととなります。

まずは大柳川の支流になる梨木沢を進むと、「涼みの滝(15m)」が現れます。滝の前は大きく開けており、滝のしぶきが周りに拡散されるため、夏であれば爽快感を味わうことができます。涼みの滝を高巻いて坂道を登ると、続いて「まぼろしの滝(50m)」「穴観音滝(不明)」の滝見台に到着します。二つの滝とも落差があり雄大な風景なのですが、水量が若干少ないのと、やはり枯れ木ばかりで殺風景な結果に終わったのが残念でした。

梨木沢から更に左へ外れる沢を進むと、「五段滝(40m)」に到着します。文字通り五段に分かれて落ちる大きな滝なのですが、遊歩道が滝の中段まで続いた場所で終わっており、上段と下段を一緒に撮影することは不可能です、また下段は落ち口から見下ろすことしか出来ないため、撮影は難しいです。

道を戻って、大柳川本流を進むと、「天淵滝(あまんぶちのたき・15m)」と「馬越淵(10m)」が現れます。付近は吊り橋で行き来できるのですが、天淵滝付近の滑らかな岩場を見下ろしての散策は非日常的な感覚になります。落差は共に小さいですが、雰囲気は良かったです。しばらく上流に向けて歩くと、「観音滝(40m)」が現れます。遊歩道のすぐ横から落ちており、直接本流に流れていくため滝壺がありません。引きがとれないため、滝を見上げるアングルが主となりますが、少し離れた吊り橋からも撮影可能です。ねじれたように水を落とす流身はとても美しいですが、落ち口に橋がかかっているのでフレームから外す必要があります。

観音滝からは遊歩道ではなく、林道を歩きます。次は「銚子口五段滝(30m)」ですが、林道脇にあるので車で行くのが楽です(但し駐車スペースがないのでご注意下さい)。向きを変えながら二段になって落ちる姿は美しく、この辺りの滝では一番優雅な姿だと思います。しかしやはり緑のない殺風景なイメージを払拭するまでに至らず、残念な結果に終わりました。

なかなか再訪できる場所ではないので、数少ないチャンスを逃した無念さはありますが、また緑が豊かな時期に再訪できればと思います。

不動滝

天淵滝

馬越淵

観音滝

涼みの滝

五段滝

まぼろしの滝(下)・穴観音滝(上)

銚子口二段滝