愛宕念仏寺(京都市右京区)H5.11.7
愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)は天台宗の寺院で、別名「千二百羅漢の寺」と言われています。愛宕山愛宕神社参道の山麓の入口に位置する「嵯峨野めぐりの始発点」として知られています。

天平神護2年(766年)、称徳天皇により、現在の六波羅蜜寺の近くに「愛宕寺」として創建されました。平安時代初めには真言宗東寺派の末寺でしたが、すでに寺は荒れており、その後の鴨川の洪水で廃寺となってしまいました。その後も醍醐天皇の命により天台宗の寺「愛宕念仏寺」として復興するも、その後も興廃を繰り返しました。大正11年(1922年)に本堂の復興を図るために現在地に移転したものの、太平洋戦争中に無住となり、昭和25年(1950年)のジェーン台風により倒壊・廃寺となりました。

昭和30年(1955年)に仏師で僧侶の西村公朝が延暦寺から再興を命じられ、単独で復興に取りかかりました。昭和55年(1980年)に本格的に境内の復興に着手し、翌年からは一般の素人の参拝者が自ら羅漢像を彫って奉納する「昭和の羅漢彫り」が始められました。当初は500体が目標でしたが、10年後には1200体に達しました。
仏像たちははっきり言って「ゆるキャラ」にしか見えない可愛らしいものばかりですが、それぞれ参拝者が丹精込めて彫った仏像ばかりです。どれ一つ同じものはなく、例えば米俵をかついていたり、上を向いて大きく口を開けて笑っていたり、猫を抱いてたり等、個性豊かなものばかりです。但しそれらの仏像たちの至るところには苔が付いており、歴史を感じる風貌であり、それらが所狭しと境内に並ぶ風景はすごい光景です。なお、この寺がある嵐山周辺は紅葉の名所であり、当寺も紅葉の名所でもあるので見ごたえがあります。

但し、当時は本格的に写真を始めた頃で、あれだけの被写体がありながら色んなものを角度から撮影する工夫が全くないまま撮影を終えてしまいました。数年後に改めて写真を見ては、勿体ないと感じてがっかりしました。当時はこの後に高雄方面を訪れ、見頃の紅葉を満喫しながら、愛宕念仏寺では紅葉の写真が一枚も残っていなかったのも気がかりでした。必ず再訪したいと思っています。

訪れた当時は阪急嵐山駅からひたすら上り坂を登って愛宕念仏寺に辿り着きましたが、当寺はJR嵯峨嵐山駅からタクシーで5分とのことで、当寺を最初に訪れ、後は下り坂ばかりの道を歩いて嵐山散策をするのがお薦めです。